このところ異常な忙しさのため、ブログを書くのサボっていました。時間があいたら、なるべく更新していきたいと思います。

最近よく美容の分野で話題となっているAnti-Aging、日本語では”抗加齢””抗老化”などと訳しますが、医師の間でも少なからず浸透してきています。 Anti-Aging medicine 皆さんはなかなか想像しずらいでしょうが具体的には、生活習慣を見直し指導したり、サプリメントなどで体の免疫を賦活化させたり、酸化をおさえたり、年齢とともに減少したホルモンを補充したり、その他様々な老化を抑えるための方法や、老化の原因を研究するものです。

一見 救急領域と無関係に思えますが、このAnti-Aging medicineを実践することにより、急病で病院に運ばれることを防ぐことが多少なりともできるような気がします。急な病気を発症する人は(特に命にかかわる様な重症患者さんは)、自分の体調の管理、メンテナンスをしていないことが多く、不健康さや病気を自覚してません。こういう方はもっと体の老化、健康について注意を払っていけば急な病気の発生を抑えられ、より健康な生活を続けられると思います。

しかしこのAnti-Aging medicineは、まだ新しい医学の分野でありハードエビデンスも少ないため、一般の医師からはまだ受け入れられずらいという面もあります。今後さらなる研究が進み、老化や病気の原因や治療法が発見されることを期待します。

朝夕はかなり寒くなってきましたね。
これから冬場になると、低体温症で運ばれてくる患者さんがふえてきます。
アルコールを飲んで外で寝てしまうとあっという間に低体温(35度以下)になってしまいます。

この低体温は

軽度  35-32度
中等度 32-28度
高度  28度未満

と分けられ、中等度、高度低体温では不整脈が出現し、死に至る可能性があります。

年末は飲み会も多いとは思いますが、寒い屋外で酔っ払って眠り込まないように注意して下さい。低体温は雪山だけでなく、街中でも起きますので。
ここ最近、高齢者の交通事故が多くなってきています。
自転車乗車中の事故、歩行中の事故がほとんどで、交通事故の被害者となることが多いです。高齢の方は動作が緩慢であったり、筋力の低下している方が多いため、どうしても事故に遭いやすいようです。

高齢者外傷の特徴として
・外傷が重症化しやすい。(若年者と比べると、同じ外傷でも明らかに死亡率が高い)
・治療期間が長くかかる。
・寝たきり、痴呆と受傷前の生活に戻れないことがある。


高齢者の方は一度事故に遭うと、その後の治療が非常に大変になりますし、些細な事故でも命を落としかねません。

自動車、バイクを乗られている方は、高齢者の傍を通過する時は十分にスピードを落として注意して走行してください。
救命センターは100万人あたりに1施設、日本全国で約170施設あります。多いように感じますが、1都道府県あたり数箇所しかない計算になります。救命センターは24時間365日オープンしており、重症患者さんの受け入れをしています。

救急患者さんは病態応じて以下の様に分類されます。

1次救急 軽症
2次救急 中等症(入院が必要なレベル)
3次救急 生命に危険が及んでいる状態


1,2次救急は一般の救急病院で治療
3次は救命センターでないと治療困難となります。

通常、歩いて病院へいける方は1次の一般救急病院を受診救急車をよばれたかたは、救急隊が1,2,3次を判断します。上記の様に救命センターは数が少なく、重症患者専門のセンターのため患者さんの希望で救命センターを受診というわけには行きません。(重症、3次救急扱いと判断された場合は別ですが)

もし救命センターへ搬送されるようなことがある場合は、
重症な可能性が高いと考えて下さい。
医師はみなそれぞれ専門をもっており、各専門分野で専門医制度があります。

専門の指定施設で決められた年月の研修を行い、その後各学会で試験を行い合格した者が専門医として認定されます。医師免許は更新制度はありませんが、専門医には数年に1度更新をしなければなりません。学会によっても異なりますが研修期間は5年~7年、更新は3年~5年程度のところが多いようです。

病院にかかる際、医師を選ぶ際、この専門医の有無も1つの判断基準となります。
(専門医がすべてではありませんが、客観的に医師を評価できる1つの指標と思います。すくなくとも医学博士よりは臨床的には価値があると思われます。)
息ができなくなる呼吸ができなくなるのは、想像以上に苦しいことです。私も気管支喘息を持っていますので、発作時は本当に苦しくこのまま呼吸が止まるのではと思うことがあります。この喘息発作は皆さんの想像以上に危険な病気です。重症な場合は呼吸が止まり死に至ります。喘息は生命にかかわる病気です。そのため我々医師は、喘息発作の患者さんは優先的に診察しています。中には急激に呼吸困難が悪化して、病院到着前に心肺停止状態となり、助けることができない方もいます。

・会話ができない
・チアノーゼ(くちびるが青紫になる)
・ヒューヒューいっていた呼吸音が聞こえなくなる
・意識がもうろうとしてくる


以上の症状がある喘息発作は、危険な発作なのですぐに医療機関を受診するか救急車を呼んで下さい。
我が国の脳卒中は死亡率で心筋梗塞の2倍、発症率では3~7倍であり、単一臓器の致死的疾患としてはNo1の疾患といえます。脳卒中の発生率は人口1000人あたり4.7人(1998年~96年)となっていますが、高齢化により増々増加傾向にあります。

脳卒中の危険因子は高血圧であり、高血圧のコントロールがとても重要であることが大規模試験でも確認されています。その他の危険因子としては、糖尿病、高脂血症、喫煙、心房細動、アルコールの多飲が確認されています。

これからの季節、血圧の高い人は特に気をつけて下さい。
医者は概してビジネス、お金のことについて無頓着です。私の様な勤務医は、患者さんを治療している際にいくら費用がかかっているかほとんどわかっていません。そのため患者さんの命を救うとなると、できうる限りの最善の治療をと考えます。医者にはコストの意識が欠けているとよくいわれますが、救急の場合は特にコストを考えて治療することは難しく、コストを削減すれば救える命も救えなくなる可能性があります。

しかし、救急、小児科などは病院の不採算部門の代表格であり、今後公立、国立病院の独立法人化、病院の株式化が導入されることを考えるとコスト、ビジネスについても勉強しなくてはと考えています。

私が好んで読んでいるビジネスblogです。音楽をからめたビジネスの解説が分かりやすく、勉強になります。
http://akira-project.ameblo.jp/
骨折にはいろいろありますが、その中でもとても重症な開放骨折を紹介します。
通常の骨折(皮下骨折)は骨折部と外との交通はないのですが、開放骨折は写真のように皮膚、筋肉が破れ骨折部が外と交通してしまい、バイキンが骨折部に入り込んでしまいます。そのため効率に感染、骨髄炎をおこしてしまいます。骨髄炎は昔は不治の病といわれ、現在でも治療困難な感染症の1つです。開放骨折は同時に、皮膚、筋肉も高度に破壊してしまうため、骨折の手術と筋肉、皮膚の再建術を必要とすることもあります。

開放骨折をもし起こしてしまったら
緊急手術を行い(傷口を洗浄、汚い組織を除去、骨折部を固定)、抗生物質の投与を行います。骨折が治るためには通常の骨折の1.5~2倍くらいの時間がかかり、手術も数回に及ぶこともあります。
救命センターはたくさんの命を救う場う所であるとともに、たくさんの患者さんがなくなるところでもあります。私ひとりでも年間数十人の患者さんを看取っています。

患者さんの最期を看取るときいつも、自分の家族と患者さんがだぶります。家族を失った方をみると、まるで自分のも家族を失ったような気がします。
その度に自分の家族のことを思い出し、生きているうち大切にしなくてはと思います。


人は意外と突然亡くなるものです。生きているうちに、家族、友人、患者さんを大切にしていきたいと思います。